【東大阪・八尾の障害年金でお悩みの方へ】発達障害は、障害年金の対象?【専門家が解説】
社会保険労務士の長谷川です。
日常生活で少し息苦しさを感じたり、対人関係を苦手としたり、医師から「発達障害」(具体的な傷病名は後述)と診断されたことがある方は、障害年金の可能性があります。
ここでは、「発達障害」に関する障害年金の制度を解説します。
発達障害とは
発達障害は、脳機能の発達が関係する障害です。
主な発達障害とその特徴は、次のとおりです。
①広汎性発達障害
コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称で、アスペルガー症候群、自閉症のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含みます
- アスペルガー症候群
社会性発達の質的障害、興味や活動の偏りなどが見られる障害です。言語あるいは認知的発達において遅延や遅滞は見られないという点で自閉症とは異なります。
- 自閉症
社会性発達の質的障害、興味や活動の偏りなどが見られ、知的障害や言語発達に遅れを伴うことがある障害です。
- 自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)
「アスペルガー症候群」、「自閉症」は、いずれもやや古い診断名です。この二つに境界線を引くことは困難であることから、現在では「自閉スペクトラム症」と診断されるようになってきました。
②学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)
知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示すさまざまな状態を含む障害です。
③注意欠陥多動性障害(ADHD:Attention-deficit/hyperactivity disorder)
不注意(集中力がないなど)、多動性・衝動性(落ち着きがない、順番待ちができないなど)の2つの特性を中心とする障害です。
④トゥレット症候群(TS:Tourette’s Syndrome)
「チック」と呼ばれる特徴的な運動や音声が自分の意志とは関係なく突然現れ、繰り返す症状がみられる病気です。
⑤吃音(症)(Stuttering)
音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せず間(ま)があいてしまうなど、一般に「どもる」と言われるような話し方の障害です。
発達障害といっても、様々な症状(障害)がありますので、医師による診断を受けたうえで障害年金のことをお考えください。正確な診断名(病名)が出るまで時間がかかることもありますので、焦らないようにしてください。
障害年金とは
障害年金とは、ケガや病気で日常生活に支障が出ている場合に受給できる年金です。
精神障害のほか、肢体障害、脳梗塞・脳出血、ガンなど様々な病気が対象となります。
具合が悪くなった際に国民年金に加入している方だと月約7万円・厚生年金加入だと月約10万円支給されます(注:金額は個人差があります)。
「発達障害」と医師に診断された場合、「精神の障害」として障害年金を検討することになります。
障害年金の等級(障害の程度)
障害年金の対象となる障害には、「等級」が設定されています。重いほうから1級、2級、3級の順です。基準は次の表のとおりです。
等級 |
障害の状態 |
1級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの |
3級 ※厚生年金のみ |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの |
※3級は、厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある場合のみに認められます。
(初診日において、国民年金のみに加入していた場合、3級は認められません)
なお、精神障害者保健福祉手帳の等級とは別の基準ですから、等級は一致しません。手帳をお持ちの場合は、「同じだ」と思い込まないようにしてください。
障害等級の判定
障害等級の判定は、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づいて行われます。
このガイドラインの中で「障害等級の目安」として、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の二つの要素からなるマトリックス表が示されていますので、以下に表示します。
〔表1〕障害等級の目安
程度 判定平均 |
(5) |
(4) |
(3) |
(2) |
(1) |
3.5以上 |
1級 |
1級又は2級 |
|
|
|
3.0以上3.5未満 |
1級又は2級 |
2級 |
2級 |
|
|
2.5以上3.0未満 |
|
2級 |
2級又は3級 |
|
|
2.0以上2.5未満 |
|
2級 |
2級又は3級 |
3級又は 3級非該当 |
|
1.5以上2.0未満 |
|
|
3級 |
3級又は 3級非該当 |
|
1.5未満 |
|
|
|
3級非該当 |
3級非該当 |
<表の見方>
- 「程度」は、診断書の記載事項である「日常生活能力の程度」の5段階評価を指す。
- 「判定平均」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出したものである。
- 表内の「3級」は、障害基礎年金を認定する場合には、「2級非該当」と置き換えることとする。
<留意事項>
障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること。
以上のように、診断書の記載内容から等級の目安が導き出される、という仕組みになっていることがわかります。
障害年金の受給には時間が必要です
障害年金は書類を提出し、審査を経て支給が決定します。
一般的に、提出までの準備に3か月・提出後の審査に3か月ほどかかります。
初回の振込までには、さらに日数がかかります。比較的順調に進んでも、準備開始から7~8か月目でようやく振込となることが多いです。
まとめ
医師により「発達障害」と診断を受けた方は、障害年金を検討してみてください。
就職して働くことができない方だけでなく、就職はできるが長く働き続けることが難しい場合も、障害年金の対象になる可能性はあります。
障害年金の手続は多くの方が経験したことが無く、また自分がどの等級に当てはまるのかを判断しかねる場合も珍しくありません。
当事務所は初回のご相談は1時間まで無料で承っております。
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最終更新日 2週間
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