【東大阪・八尾の障害年金でお困りの方】聴覚障害で障害年金はもらえますか?

今回は、「聴覚障害」と障害年金について、解説いたします。

また聴覚障害と併存することが多い「平衡障害」についても解説します。

 

「聴覚障害」について

 国の統計では、障害者手帳(身体・精神・知的)を持つ人のうち日常会話の聞き取りに困難のある人は194万人ほどいるとされています(厚生労働省「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」より)。ただし、65歳以上の人が147万人で全体の4分の3を占めており、65歳未満は47万人で全体の4分の1です。

また、障害者手帳を保有しない約14万人いますので、65歳以下で聴力に困難なある人は、おそらく160万人以上と推測されます。

これらの中には、障害年金を受け取ることができる可能性があるにもかかわらず、年金請求の手続をしたことが無い人が一定数いるはずです。

 

聴覚の障害認定基準

 「障害認定基準」の第1章第2節が「聴覚の障害」となっています。

 

聴覚の障害による障害の程度は、純音による聴力レベル値(純音聴力レベル値)及び

語音による聴力検査値(語音明瞭度)により認定することとなっています。

 

次のような表です。

障害の程度

障害の状態

1級

両耳の聴力レベルが100 デシベル以上のもの

2級

両耳の聴力レベルが 90 デシベル以上のもの

身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

⇒<両耳の平均純音聴力レベル値が80 デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの>

3級

両耳の聴力が、40 センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの

⇒次のア、イのいずれか

ア 両耳の平均純音聴力レベル値が70 デシベル以上のもの

イ 両耳の平均純音聴力レベル値が50 デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの

障害手当金

一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの

⇒一耳の平均純音聴力レベル値が80 デシベル以上のもの

 

比較的シンプルな表になっており、数字で決められている基準が多く、測定データがあれば一般の方でも等級の判定はできるのではないでしょうか。

 

聴覚障害の認定方法

 

聴力レベル

聴力レベルは、オージオメータ(JIS 規格又はこれに準ずる標準オージオメータ)によって測定するものとする。

聴力レベルの

デシベル値

話声域すなわち周波数500、1000、2000 ヘルツにおける純音の各デシベル値をa、b、cとした場合、次式により算出する。

平均純音聴力レベル値=(a+2b+c)/4

なお、この算式により得た値が境界値に近い場合には

(a+2b+2c+d)/6 

の算式により得た値を参考とする。

 

a:周波数 500 ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

b:周波数1000 ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

c:周波数2000 ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

d:周波数4000 ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

最良語音明瞭度の算出

ア        検査は、録音器又はマイク付オージオメータにより、通常の会話の強さで発声し、オージオメータの音量を適当に強めたり、弱めたりして最も適した状態で行う。

イ        検査語は、語音弁別能力測定用語音集により、2秒から3秒に1語の割合で発声し、語音明瞭度を検査する。なお、語音聴力表は、「57s式語表」あるいは「67s式語表」とする。

ウ        語音明瞭度は、次式により算出し、語音明瞭度の最も高い値を最良語音明瞭度(語音弁別能)とする。

 

語音明瞭度=正答語音数/検査語数×100(%)

 

 

なお、「聴覚障害」と「平衡機能の障害」が併存する場合、併合認定の取扱いが行われます。

併合認定とは、それぞれの障害を個別に認定した等級のいずれかを選ぶのではなく、併合することにより上位の等級に認定する(ことがある)という取扱です。少し難しいところがありますので、詳しくは社会保険労務士へお問い合わせください。

 

平衡機能の障害の認定基準

障害等級に1級はありません。次のとおりです。

障害の程度

障害の状態

2級

平衡機能に著しい障害を有するもの

3級

神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

障害手当金

神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 

平衡機能の障害の認定方法

①平衡機能の障害には、その原因が内耳性のもののみならず、脳性のものも含まれます。

 

平衡機能に

著しい障害を

有するもの

四肢体幹に器質的異常がない場合に、閉眼で起立・立位保持が不能又は開眼で直線を歩行中に10 メートル以内に転倒あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のものをいう。

 

③中等度の平衡機能の障害のために、労働能力が明らかに半減しているものは、3級と認定されます。

中等度の平衡機能の障害

閉眼で起立・立位保持が不安定で、開眼で直線を10メートル歩いたとき、多少転倒しそうになったりよろめいたりするがどうにか歩き通す程度のもの

 

④めまいの自覚症状が強く、他覚所見として眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見が認められ、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものは、併合判定参考表の8号(3級又は障害手当金)と認定されます。併合認定の少しわかりづらいところですので、ぜひ社会保険労務士にお問い合わせください。

 

聴覚障害・平衡機能の障害で障害年金をもらうためのポイント

  • 聴覚障害1級の手続の場合は記録データのコピー等も提出が必要

障害が最も重い1級の認定を得ようとすると、一般的な記載の診断書だけでは不十分です。

・オージオメータによる検査に加えて、聴性脳幹反応検査等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施したうえでその結果を診断書に記載する必要があります。

・さらに検査の記録データのコピーを提出する必要があります。

 

  • 併合認定の可能性を見落とさない

平衡機能の障害は、聴覚障害と併存することが多いのですが、検査数値で結論が見通しやすい聴覚障害の手続だけで終わってしまうことがあります。併合認定にメリットがあるのか否かわかりづらい場合は、社会保険労務士へのご相談をご検討ください。

 

年金受給に必要な3つの要件

障害年金の受給に必要な要件は、次の3つです。

 ①初診日要件

初診日時点で、(国民年金または厚生年金保険の)被保険者であること

(または、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない人)

 

②保険料納付要件

初診日の前日において、保険料の納付要件を満たしていること。

(注:20歳前の障害による年金については、「保険料納付要件」は不要)

 

③障害等級に該当

障害認定日における障害の状態が、障害等級表に定める障害等級に該当すること

 

 障害年金の等級は、重いほうから、国民年金(障害基礎年金)については1級と2級、厚生年金保険(障害厚生年金)については1級、2級、3級、があります。

 

 国民年金と厚生年金保険(公務員を含む)については、等級の基準は同じです。(いずれの年金も、等級の判定は同じ基準を用いています)

 

 受給要件についてはこちら

 

難しいと思ったら専門家に依頼を

 「聴覚障害」のみであれば、ご本人やご家族が手続を行うことが可能かもしれません。

 

しかし、やや難しいケースもありますし、平衡機能障害も併存する場合などについては、遠慮なく社会保険労務士へご相談・ご依頼ください。

 

まとめ

聴覚障害・平衡機能障害のある方、またはそのご家族などで、障害年金についてご不明な点などあれば、遠慮なく社会保険労務士にご相談ください。

 

当事務所は初回のご相談は1時間まで無料で承っております。

時間のゆるすかぎり、病状や日常生活について伺います。

 

お気軽にお問い合わせください。

 

最終更新日 2か月

投稿者プロフィール

長谷川 豊
長谷川 豊社会保険労務士
「受給資格のある方に、適切な障害年金を」を念頭に、請求をサポートしております。障害年金の請求をご検討中の皆様はぜひ当事務所にご相談ください。
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