【東大阪・八尾の障害年金でお困りの方】腰椎椎間板ヘルニアで障害年金はもらえますか?

 

今回は、「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」で障害年金を受給できるのかについて、解説いたします。

 

 

「腰椎椎間板ヘルニア」について

 

ご相談のお電話、メール、LINEなどで、病名を「ヘルニア」とお聞きすることはよくあります。しかし、このページをお読みいただいている方であればお分かりかと思いますが、「ヘルニア」という用語は、「腰椎椎間板ヘルニア」だけを指すものではありません。したがって、身体のどの部分のヘルニアなのか、私もよく判りません。その都度「腰ですか?」「腰椎椎間板ヘルニアですか?」などのように確認しながらお話をお聞きすることにしています。(割合は高くありませんが、胸椎(きょうつい)や頚椎(けいつい)の椎間板ヘルニアもあります。また、椎間板ヘルニアではなく、鼠経(そけい)ヘルニア(いわゆる脱腸)、脳ヘルニアなどもあります)

 

椎間板ヘルニアは、背骨の椎骨(ついこつ)の間にある椎間板(ついかんばん)が後ろに飛び出す病気です。椎間板が神経等を圧迫し、痛みやしびれが生じるとされています。

 

軽度の場合は安静にすれば症状が改善します。この段階では、障害年金のことを考える人はほとんどいないでしょう。

しかし、症状が悪化すると、腰、お尻、太もも、ふくらはぎなどの痛みやしびれが強くなり、足に力が入りにくくなることから歩行困難になることもあります。こうなると日常生活にも支障が出て、仕事も困難になってきますので、障害年金のことを検討される方が多くなります。

症状は、一人ずつ異なるので、障害年金の対象となるかを簡単に表現することは簡単ではありませんが、お話の内容を「障害認定基準」に当てはめつつ検討することにしています。

 

なお、今回は、椎間板ヘルニアの中で最も件数の多い「腰椎椎間板ヘルニア」について解説していますが、胸椎、頚椎などの椎間板ヘルニアであっても(痛み、しびれ、筋力低下などの発症部位は異なりますが)、障害年金についての考え方は共通する部分が多いので、ご参考になると思います。もちろん、詳細については個別のご相談でよく確認してください

 

腰椎椎間板ヘルニアの障害認定基準

 「障害認定基準」の第1章第7節第3が「体幹・脊柱の機能の障害」となっています。

通常、腰椎椎間板ヘルニアは、この基準で判定されます。

 

次のような表です。

障害の程度

障害の状態

1級

体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

脊柱の機能に著しい障害を残すもの

障害手当金

脊柱の機能に障害を残すもの

 

体幹・脊柱の機能の障害の認定方法

体幹の機能の障害

1級

・「体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの」→腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもができないもの

・「体幹の機能に立ち上がることができない程度の障害を有するもの」→臥位又は坐位から自力のみで立ち上れず、他人、柱、杖、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上ることができる程度の障害

 

2級

・「体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの」→室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害

 

脊柱の機能の障害

 

荷重機能障害と運動機能障害があります。

 

2級

荷重機能障害

荷重機能障害は、脊柱の支持機能の障害で、日常生活及び労働に及ぼす影響が大きいので重視する必要がある。

・「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」→日常生活における動作が一人でできるが非常に不自由な場合又はこれに近い状態をいう。

A 日常生活における動作は、おおむね次のとおり。

ズボンの着脱(どのような姿勢でもよい)

靴下を履く(どのような姿勢でもよい)

座る(正座、横すわり、あぐら、脚なげ出し)

深くおじぎ(最敬礼)をする

立ち上がる

 

3級

運動機能障害

基本的には、前屈・後屈運動のみの測定で可とするが、脊柱全体の運動機能をみる必要がある場合は回旋・側屈を測定し認定する。

・「脊柱の機能に著しい障害を残すもの」→脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたもの。

 

障害手当金

・「脊柱の機能に障害を残すもの」→脊柱又は背部・軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の他動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のものや頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたもの

 

(3級、障害手当金共通)

傷病の部位がゆ合してその部位のみについてみると運動不能であっても、他の部位が代償して脊柱に運動障害は軽度あるいはほとんど認められない場合が多いので、脊柱全体の運動機能、すなわち、前記Aのような日常生活における動作を考慮し認定する。

 

神経機能障害との関係

認定に当たっては、単に脊柱の運動障害のみでなく、随伴する神経系統の障害を含め、総合的に認定する。

 

参考:疼痛について

「障害認定基準」の第1章第9節に、「神経系統の障害」があります。

その中の「2 認定要領」の(3)に「疼痛は、原則として認定の対象にならない」と定めています。残念ながら、痛みが強い場合でも、単にそれだけでは障害年金が認定される可能性はありません。

ただし、「障害認定基準」では、次のように定めています。

四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛

脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛

根性疼痛

悪性新生物に随伴する疼痛

糖尿病性神経障害による激痛等

疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等により、次のように取り扱う。

3級

軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの

障害手当金

一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの

 

腰椎椎間板ヘルニアで障害年金をもらうためのポイント

1痛みやしびれ以外の障害の状態から障害年金を考える

ご相談者の多くは、痛みやしびれの症状が酷いのですが、それだけで年金を考えると3級あるいは障害手当金ということになります。初診日に国民年金のみ加入の方は、何も受給できないということになります。やや厳しい表現になりますが、現実もこれに近い状態です。

一方、杖や装具などがないと歩行できない、筋力が大きく低下している、排尿障害が生じている、などが認められると、2級以上の可能性も出てきます。

ちなみに手術の有無は基本的に関係ありません。(手術をしたから障害年金が受給しやすいということはありません)

 

2初診日の確認に注意

障害年金を受給できる状態まで悪化した時期と初めて医師の診察を受けた時期が、大きく離れていることが珍しくありません。10年、20年、それ以上の場合もあります。

例えば、20歳代から腰痛で整形外科に通院していたが、50歳ごろに手術、その後悪化して55歳ごろに歩行困難で障害年金を請求、などの例もあります。本人も初診日を覚えておらず、当時の病院も無くなっていたりカルテを破棄していたりで、初診日の特定が困難になります。

病院の領収証や診察券は、なるべく捨てずにとっておくほうが良いでしょう。

 

年金受給に必要な3つの要件

障害年金の受給に必要な要件は、次の3つです。

 ①初診日要件

初診日時点で、(国民年金または厚生年金保険の)被保険者であること

(または、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない人)

 

②保険料納付要件

初診日の前日において、保険料の納付要件を満たしていること。

(注:20歳前の障害による年金については、「保険料納付要件」は不要)

 

③障害等級に該当

障害認定日における障害の状態が、障害等級表に定める障害等級に該当すること

 障害年金の等級は、重いほうから、国民年金(障害基礎年金)については1級と2級、厚生年金保険(障害厚生年金)については1級、2級、3級、があります。

 国民年金と厚生年金保険(公務員を含む)については、等級の基準は同じです。(いずれの年金も、等級の判定は同じ基準を用いています)

 受給要件についてはこちら 

難しいと思ったら専門家に依頼を

「腰椎椎間板ヘルニア」の障害年金請求は、ご本人やご家族が手続を行うことも可能です。

 

しかし、初診日が古いケースなど、初めて請求手続する方にとってはハードルが高いと言える場合もあります。そんなときは、遠慮なく社会保険労務士へご相談・ご依頼ください。

まとめ

腰椎椎間板ヘルニア、その他の椎間板ヘルニアの方、またはそのご家族などで、障害年金についてご不明な点などあれば、遠慮なく社会保険労務士にご相談ください。

 

当事務所は初回のご相談は1時間まで無料で承っております。

時間のゆるすかぎり、病状や日常生活について伺います。

 

お気軽にお問い合わせください。

 

最終更新日 2か月

投稿者プロフィール

長谷川 豊
長谷川 豊社会保険労務士
「受給資格のある方に、適切な障害年金を」を念頭に、請求をサポートしております。障害年金の請求をご検討中の皆様はぜひ当事務所にご相談ください。
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