【東大阪・八尾の障害年金でお困りの方】脊髄損傷で障害年金はもらえますか?

今回は、「脊髄損傷」で障害年金を受給できるのかについて、解説いたします。

 

「脊髄損傷」について

 

「脊髄損傷」の影響は身体の大きな範囲に及ぶことも珍しくありません。脊髄は長い管状で、脳幹の下端から脊椎の下部まで続いています。一般に、運動・知覚の障害が出ることにより、いわゆる「麻痺(まひ)」などが現れます。

 

原因は、脊椎の脱臼や骨折によって脊髄が圧迫されること、です。多くは、交通事故、転倒や転落、暴行、スポーツが原因です。

 

症状は、損傷の程度により、「完全損傷」と「不完全損傷」に分けられます。

「完全損傷」とは、脊髄の機能が完全に壊れた状態で、脳からの命令は届かず、運動機能が失われます。さらに、脳へ情報を送ることもできず、感覚知覚機能も失われます。

「不完全損傷」とは、脊髄の一部が損傷し一部機能が残った状態で、感覚知覚機能だけが残った重症なものや、ある程度運動機能が残った軽症なものなど様々です。

 

国内では、約15万人の患者さんがいると言われています。

 

最近では、高齢化社会を反映してか、非骨傷性頚髄損傷(骨折を伴わない脊髄損傷)が増加しています。交通事故やスポーツのよるケガではなくても、発症する方が多くなっているのです。

ただし、障害年金の請求は、原則として64歳までとなっています。65歳以上の方が加齢による骨髄損傷を発症されても、障害年金の受給は困難ですので、予めご了承ください。

 

症状は、一人ずつ異なるので、障害年金の対象となるかを簡単に表現することは簡単ではありませんが、お話の内容を「障害認定基準」に当てはめつつ検討することになります。

 

 

 

脊髄損傷の障害認定基準

 

「障害認定基準」の第1章第7節第4が「肢体の機能の障害」となっています。

脊髄損傷では、この基準で判定されることが多いですが、障害の状態によっては、第2「下肢の障害」や第3「体幹・脊柱の機能の障害」によることもあります。

 

第4 肢体の機能の障害

 

障害の程度

障害の状態

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 

 

肢体の機能の障害の認定方法

 

・肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。

・他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。

 

・認定の一部例示

障害の程度

障害の状態

1級

1. 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの

2. 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの

2級

1. 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの

2. 四肢に機能障害を残すもの

3級

一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの

 

(注)

肢体の機能の障害が両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によって認定すること。

なお、肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合であって、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定すること。

 

・日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができないが、おおむね次のとおり。

ア 手指の機能

(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)

(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)

(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)

(エ) ひもを結ぶ

イ 上肢の機能

(ア) さじで食事をする

(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)

(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)

(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)

(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)

(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

ウ 下肢の機能

(ア) 片足で立つ

(イ) 歩く(屋内)

(ウ) 歩く(屋外)

(エ) 立ち上がる

(オ) 階段を上る

(カ) 階段を下りる

なお、手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱う。

 

・身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考として示すと、次のとおり。

  • 「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいう。
  • 「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいう。
  • 「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいう。

 

脊髄損傷で障害年金をもらうためのポイント

1 診断病名は「脊髄損傷」とは限らない

「頚髄損傷」「胸髄損傷」「腰髄損傷」と診断書に記載されることが多いです。いずれであっても、脊髄損傷として障害年金の対象になります。

 

2 交通事故など第三者関与の有無を明確に

多くが事故によるため、事故等の詳細を明確にしておく必要があります。

発生場所、時刻、気象状況などのほか、第三者から損害賠償を受けられるかどうかも説明が必要です。

ちなみに損害賠償を受けられる場合、障害年金は最長3年の支給停止となります。(事故発生日の翌日から最長3年)

 

年金受給に必要な3つの要件

 

障害年金の受給に必要な要件は、次の3つです。

 

①初診日要件

初診日時点で、(国民年金または厚生年金保険の)被保険者であること

(または、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない人)

 

②保険料納付要件

初診日の前日において、保険料の納付要件を満たしていること。

(注:20歳前の障害による年金については、「保険料納付要件」は不要)

 

③障害等級に該当

障害認定日における障害の状態が、障害等級表に定める障害等級に該当すること

 

 障害年金の等級は、重いほうから、国民年金(障害基礎年金)については1級と2級、厚生年金保険(障害厚生年金)については1級、2級、3級、があります。

 

 国民年金と厚生年金保険(公務員を含む)については、等級の基準は同じです。(いずれの年金も、等級の判定は同じ基準を用いています)

 

 受給要件についてはこちら 

 

難しいと思ったら専門家に依頼を

 

「脊髄損傷」の障害年金請求は、交通事故などが関係する事例が多く、その他の障害年金と比べると手続がやや複雑になることが多いです。

ご自分で手続しようとしたものの途中で行き詰まってしまい、社会保険労務士にご相談されることも珍しくありません。

もし手続に不安がある場合は、早い段階で遠慮なく社会保険労務士へご相談・ご依頼ください。

 

まとめ

頚髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷などの病名で日常生活に影響がある方、またはそのご家族などで、障害年金についてご不明な点などあれば、遠慮なく社会保険労務士にご相談ください。

 

当事務所は初回のご相談は1時間まで無料で承っております。

時間のゆるすかぎり、病状や日常生活について伺います。

 

お気軽にお問い合わせください。

最終更新日 2か月

投稿者プロフィール

長谷川 豊
長谷川 豊社会保険労務士
「受給資格のある方に、適切な障害年金を」を念頭に、請求をサポートしております。障害年金の請求をご検討中の皆様はぜひ当事務所にご相談ください。
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