【東大阪・八尾の障害年金でお困りの方】初診日の記録が見つからない場合は?

今回は、「初診日」の記録が見つからない場合について、解説いたします。

 

まず、初診日について見ていきましょう。

 

 「初診日」とは?

 

1 初診日は一つだけ

 

初診日とは、障害の原因となった傷病について、「初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」のことを言います。1つの傷病について、複数の医療機関に通院・入院していた場合は、最初に診察を受けた医療機関の初診だけが障害年金の「初診日」になります。

 

残念ながら、証明書や診断書を作成していただく医療機関において、この考え方が理解されていないことが珍しくなく、日付の訂正を依頼することが少なくありません。

 

 参考:「初診日」の考え方

同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日

傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日

障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日

先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日  ※1

先天性の心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日

※1 知的障害と発達障害は初診日のとらえ方が異なります。発達障害(自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害など)は、自覚症状があって、初めて診療を受けた日が初診日となります。

 

 

2 初診日の重要性

 

初診日は、次のことの判断時期になるため、重要です。

①国民年金、厚生年金のどちらから年金が支給されるか

②年金保険料の未納は無かったか

ほかにも、「20歳前の障害」に該当するかなども、初診日を基準に判定されます。

 

年金事務所での相談や提出書類の準備・作成において、初診日はとても重要です。

そのため、客観的な資料でその日付を証明することが求められることとなっています。

 

3 一般的な初診日の証明方法

 

・「受診状況等証明書」を医療機関で発行してもらう(有料)

 

最初に受診した医療機関にカルテ等が保存されていれば、その医療機関に「受診状況等証明書」という書類の発行をしてもらうことにより、初診日の証明が完了します。

(用紙は日本年金機構のホームページからダウンロード可能)

具体的には、書類の「⑥初診年月日」に記入される日付が「初診日」となります。

 

繰り返しになりますが、最初に受診した医療機関の初診だから「初診日」になるのであって、2番目以降の医療機関で「受診状況等証明書」を発行してもらったとしても「⑥初診年月日」の日付が「初診日」になることはありません。

「受診状況等証明書」の発行を依頼するときには、その医療機関が「最初の医療機関」であったかどうか、よく確認してからにしたほうが良いでしょう。

(最初から詳細が明らかではない場合も多いので、受診状況等証明書を複数の医療機関で発行してもらうことも珍しくありません)

 

 初診日の記録が見つからないとき

 

次のような場合、初診日の記録が見つからないことがあります。

・初診日から長い年月が経過している(カルテの法定保存期間5年を超えている)

・医療機関が無くなっている(閉院など)

・複数の医療機関に通院しており最初の医療機関がわからなくなった

 

これらの場合には、既に説明した「受診状況等証明書を発行してもらう」ことが困難です。

そこで、他の方法で初診日の証明を行うことを考える必要が出てきます。

 

書類としては、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出する必要があります。

これには、証明書類となる可能性のあるものが列挙されていますので、順に見ていきましょう。

 

・身体障害者手帳・療育手帳、精神障害者保健福祉手帳

 

いずれの手帳も医師の診断書を基に公布されるものですから、その時点で診察を受けていたと考えられます。

これらの手帳が20歳前に発行されていた場合、「20歳前の傷病による障害年金」として受給の可能性があります。

 

・身体障害者手帳等の申請時の診断書

 

これも前項と同様です。

 

・生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書

 

民間の保険会社や国の労災保険に関する手続書類から、医師の診察日が確認できる場合があります。

 

・事業所等の健康診断の記録

 

健康診断の受診日が直接的に初診日となるわけではありませんが(注:一部の重篤な病状が判明した場合は初診日と判断される場合が無いわけではありませんが、稀です)、異常が確認された後の医療機関の診察日が初診日と判断されます。

 

・母子健康手帳

 

先天性の障害について記録されていれば、20歳前の傷病による障害と判断されます。

 

・健康保険の給付記録(健康保険組合や健康保険協会等のレセプト)

 

給付記録には医療機関での診療内容がわかる情報が含まれますので、証明資料となります。ただし、概ね10年程度で破棄されることが多く、無期限で保管されているわけではありません。もし20年、30年前の情報となると、残念ながら残っていない可能性が高くなります。

 

・お薬手帳、糖尿病手帳、領収書、診察券(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)

 

医療機関の領収書や診察券が残っており、その日付が読み取り可能であれば、初診日の証明資料になることがあります。

 

・小学校・中学校等の健康診断の記録や成績通知表

 

知的障害については、20歳前に障害があったことが証明できる資料になります。

 

・盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証明

 

20歳後に入学した場合を除き、障害が20歳前にあったことを証明できます。

 

・第三者証明

 

上で列挙した資料が見つからない(=発行してもらえない)場合は、第三者の証明により初診日の証明を主張することがあります。

物的証拠が無い状況なので、第三者の証明内容は具体的でなければいけませんが、いわば最後の砦というところです。

もし、第三者証明も困難となると、障害年金への道はほぼ閉ざされてしまう、と言っても良いでしょう。

 

現在の年金制度では、初診日という重要な情報を請求者(本人)が証明することを求めています。

多くの人にとっては、一定の費用を負担し医療機関で証明書を発行してもらえば解決できます。

一方、一部の人については、資料収集も困難で、なおかつ第三者証明も困難、という極めて厳しい状況に置かれてしまうことが発生しています。

このあたりについては、制度の在り方について、より深い議論と改善を期待したいです。

 

 

 第三者証明の要点

 

1 原則2名必要

 

原則として「第三者」は2名必要です。

ただし、三親等内の親族は「第三者」には認められません。親や子(一親等)、兄弟姉妹(二親等)は、第三者証明を作成することはできませんので、お気を付けください。

 

また医療従事者(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、精神保健福祉士など。事務職員は含みません)が証明できる場合は、当該1名だけで認められることがあります。

 

2 記載事項

 

年金請求者の受診状況を申立者(第三者)が知っていたのは、次の二つの場合が考えられます。

①直接見て認識していた場合

②年金請求者やその家族から聞いて知っていた場合(伝聞)

 

このうち、②の場合は、年金請求からおおむね5年以上前に聞いていたことが必要になります。

 

そのほか、初診日が20歳前と20歳以降では、証明すべき事項が少し異なる部分があります。詳細については、社会保険労務士にご相談ください。

 

 まとめ

 

初診日が見つからないからといって、年金の請求をあきらめてしまう人もいるかもしれません。

しかし、社会保険労務士であれば、お話をよく聞き、何かお力になれるかもしれません。

場合によっては、時間がかかってしまうこともあるかもしれません。

情報を集めて整理し、考えられることをすべて試した後で年金をあきらめても良いのではないでしょうか。

 

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最終更新日 2週間

投稿者プロフィール

長谷川 豊
長谷川 豊社会保険労務士
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