【東大阪・八尾の障害年金でお困りの方】後縦靭帯骨化症で障害年金はもらえますか?

今回は、「後縦靭帯骨化症」で障害年金を受給できるのかについて、解説いたします。

 

 「後縦靭帯骨化症」について

 

「後縦靭帯骨化症」とは、脊柱管を縦に貫いている後縦靱帯が骨化する病気です。指定難病の1つです。脊柱管が狭くなり、脊柱管を通る脊髄や神経根が圧迫されて、感覚障害や運動障害などの神経症状を引き起こします。

 

原因は特定されていませんので、治療方法が確立されているというわけでもありません。薬物療法のほか、装具を装着する場合もあり、悪化した場合は手術を行うこともあります。

 

症状は、頚椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)のいずれに現れ、これらの複数にわたって現れる場合もあります。発症部位にもよりますが、指先の痛みやしびれ、足の感覚障害や運動障害、歩行困難、排尿・排便障害などが現れることがあります。

 

国内では、約4万人の患者さんがいると言われています。男性のほうが多いと言われています。

 

症状は、一人ずつ異なるので、障害年金の対象となるかを判定することは簡単ではありませんが、お身体の状態を「障害認定基準」に照らしつつ検討することになります。

 

 後縦靭帯骨化症の障害認定基準

 

「障害認定基準」の第1章第7節第4が「肢体の機能の障害」となっています。

後縦靭帯骨化症では、この基準で判定されることが多いです。

 

第4 肢体の機能の障害

 

障害の程度

障害の状態

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 

 

 肢体の機能の障害の認定方法

 

・肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。

・他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。

 

・認定の一部例示

障害の程度

障害の状態

1級

1. 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの

2. 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの

2級

1. 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの

2. 四肢に機能障害を残すもの

3級

一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの

(注)

肢体の機能の障害が両上肢、一上肢、両下肢、一下肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によって認定すること。

なお、肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合であって、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定すること。

 

・日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができないが、おおむね次のとおり。

ア 手指の機能

(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)

(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)

(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)

(エ) ひもを結ぶ

イ 上肢の機能

(ア) さじで食事をする

(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)

(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)

(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)

(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)

(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

ウ 下肢の機能

(ア) 片足で立つ

(イ) 歩く(屋内)

(ウ) 歩く(屋外)

(エ) 立ち上がる

(オ) 階段を上る

(カ) 階段を下りる

なお、手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱う。

 

・身体機能の障害の程度と日常生活における動作の障害との関係を参考として示すと、次のとおり。

  • 「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいう。
  • 「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいう。
  • 「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいう。

 

 後縦靭帯骨化症で障害年金をもらうためのポイント

1 障害年金の請求時期を見極める

進行性の疾病に共通することですが、どのタイミングで年金を請求するか、冷静に判断することが重要です。症状の変化(悪化)は、個人ごとにスピードが異なります。

一度障害年金の請求をして不支給決定を受けた場合、次はいつごろ請求するのが良いのか、なかなか判断に迷うところです。例えば、身近な家族などは毎日様子(病状)を見ているので、意外と変化に気づくことが遅くなることがあります。半年あるいは1年に1回程度、医師に確認するなどの対応が望ましいです。

また、車椅子が電動車椅子になった、など、顕著な変化は一つのきっかけになることが多いです。

もちろん、「障害認定基準」にある基準に達しているかどうか、落ち着いて確認することが必要です。

 

2 遡及の可能性を確認

後縦靭帯骨化症は、急激な症状悪化が見られることはないようです。また症状があっても軽度であれば日常生活への影響は少ない場合もあります。

一方、症状が重度の場合は、日常生活に大きな支障があり、介助を必要とすることもあります。手術をしても、また骨化が大きくなることもあるので、治療方針は主治医によく相談することが重要です。

重度の方の場合、障害年金の権利(等級の該当)が、実は数年前から可能性があった、というようなこともあります。遡及して障害等級への該当が認定してもらえないか、落ち着いて検討することが必要でしょう。

 

 年金受給に必要な3つの要件

 

障害年金の受給に必要な要件は、次の3つです。

 

①初診日要件

初診日時点で、(国民年金または厚生年金保険の)被保険者であること

(または、20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない人)

 

②保険料納付要件

初診日の前日において、保険料の納付要件を満たしていること。

(注:20歳前の障害による年金については、「保険料納付要件」は不要)

 

③障害等級に該当

障害認定日における障害の状態が、障害等級表に定める障害等級に該当すること

 

 障害年金の等級は、重いほうから、国民年金(障害基礎年金)については1級と2級、厚生年金保険(障害厚生年金)については1級、2級、3級、があります。

 

 国民年金と厚生年金保険(公務員を含む)については、等級の基準は同じです。(いずれの年金も、等級の判定は同じ基準を用いています)

 

 受給要件についてはこちら ※別ページへのリンクです

 

 難しいと思ったら専門家に依頼を

 

「後縦靭帯骨化症」の障害年金請求は、いつから請求手続を行うべきなのかやや分かりづらく、遡及の可能性の検討も簡単ではないことが多いです。

ご自分で手続しようとしたものの途中で行き詰まってしまい、社会保険労務士にご相談されることも珍しくありません。

もし手続に不安がある場合は、早い段階で遠慮なく社会保険労務士へご相談・ご依頼ください。

 

 まとめ

後縦靭帯骨化症で日常生活に影響がある方、またはそのご家族などで、障害年金についてご不明な点などあれば、遠慮なく社会保険労務士にご相談ください。

 

当事務所は初回のご相談は1時間まで無料で承っております。

時間のゆるすかぎり、病状や日常生活について伺います。

 

お気軽にお問い合わせください。

最終更新日 1週間

投稿者プロフィール

長谷川 豊
長谷川 豊社会保険労務士
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